医療機器営業(業界経験者)の採用傾向と評価のポイント
コロナ禍において一時期落ち込みましたが、医療機器業界経験者の採用は回復基調にあります。採用枠が限られている企業も多いため、以前にもまして優秀な医療機器経験者のニーズが高まっています。
ただし、ニーズが高まっているとはいえ簡単に面接を突破できるわけではありません。人物面や実績、営業プロセスのチェックは厳しく行われます。下記に記述していますが、しっかりとした準備の上で転職活動に臨むことが重要です。
CONTENTS
若手営業(医療機器経験者)の求人傾向と評価のポイント
求人傾向
医療機器の基本的な営業スキルを習得した若手経験者はニーズが高く、これまで経験した製品分野に関係なく、有利に転職活動を行える状況です。
但しコミュニケーション能力、人物、目標達成意欲と実際に挙げた実績はもちろんのこと、実績を挙げたプロセス、転職回数やその理由も評価において重要な要素となります。転職が悪いわけでは決してありませんが、実際転職して自分自身成長を遂げ、会社の業績にも貢献しているかは重要なポイントになります。
通常の採用の場合(新規ビジネスの立ち上げなど特に領域の経験を求める場合以外)は特に上記の内容をきっちり面接でチェックされます。経験者といえども気を抜かずしっかり準備して面接に望むことが重要だと言えます。
評価のポイント
- 医療機器営業としての基本的な知識・スキルと、コミュニケーション能力を持ち合わせているか
- 臨床知識と営業スキルをバランスよく組み合わせて営業を行ってきたか
- 目標を常に意識して、モチベーションを維持してコンスタントに実績を挙げてきたか
- 担当顧客のニーズを的確につかむ能力をもち、シナリオを作り、柔軟なアプローチで営業ができているか
- 1社である程度の期間勤務しているか、これまでと今回の転職理由は妥当か、転職によって自己成長、会社への貢献を実現しているか
医療機器代理店経験者の求人傾向と評価のポイント
求人傾向
医療材料代理店経験者ですが、「医療機器業界の仕事の進め方を理解している」、「特定製品分野の知識をメーカー営業に生かせる」、という点で評価する企業が多くあります。一方で、「納品中心の営業スタイル」という先入観で見られることは否めず(実際はかなり営業的に動かれている方もいらっしゃいますが)、代理店経験者を敬遠する企業もあります。
メーカー営業に通じるような、新規顧客を開拓した経験などをアピールし、メーカー面接官の先入観をいい意味で覆す必要があります。 あまり代理店での経験が長くなると、「メーカー営業に適応しづらくなるのではないか」という懸念点から転職が難しくなるケースも多くみられます。メーカー営業に転職するなら特定の製品で大きな強みを持っている場合を除き、20代のうちに動いておいたほうが良いと言えます。
評価のポイント
- 納品だけではなく、自ら新規ビジネスのリサーチ、製品PR・情報提供、クロージングというメーカー営業に必要な営業スタイルを経験し、実績を挙げているか?
- 応募ポジションがターゲットとする診療科への営業経験があるか?
- 取扱い製品に関する製品知識や臨床知識を持ち合わせているか?
- ターゲット数字を明確に持ち、それを達成するための動きをしてきたか?
中堅営業(医療機器経験者)の求人傾向と評価のポイント
求人傾向
中堅クラス(リーダー・スーパーバイザークラス)となると、やはり「即戦力」であることが求められます。その意味で、医療機器業界の中でも、これまで経験した領域の競合他社や、非常に近い用途の製品、同じ診療科で使用する製品など、これまでの経験を生かし、短期間で結果を出せる人材を求める企業が大多数です。
製品分野で応募要件に制限を設けなくても、これまでの取扱い製品が「消耗品・インプラント系」であるか、それとも「大型機器」であるか?で最初のスクリーニングがかけられる場合もあります。これは、両者で営業手法がかなり異なるためです。
たとえ製品分野を大きく変えることになったとしても、製品知識をいち早く吸収し、これまでに培った営業スキル、ノウハウを用いて早い段階で結果を出すことが求められます。 新規事業の立ち上げにおける大量採用においては、あまり経験した製品分野に制限を設けない募集も多くみられます。
評価のポイント
- 応募ポジションがターゲットとする製品分野の臨床知識・診療科への営業経験・(もしくは近い知識・経験)を持っているか。
- 応募ポジションが想定するエリアのマーケットを把握しているか、顧客とは良好な関係を築いてきたか
- 継続的に実績を挙げてきたか。特筆すべき「成功体験」を持っているか。
- これまでの転職理由は妥当なものか。結果を残し、次のチャレンジとして転職をしてきたか?
- 「マネージャーとしての資質」があるか?(自分以外の利害関係者を巻き込み、その力を最大限に活用して成果を挙げてきた経験があるか?)
営業マネージャーの求人傾向と評価のポイント
求人傾向
営業マネージャー(特に現場のマネジャー)は、自社の人材を昇進させるのが一般的ですので、案件数としては他の営業案件と比較して非常に少なくなります。すでに組織が安定している企業で、補充の目的で外部からマネジャーを採用するというケースは非常に少ないでしょう。
ただし、現職で非常に高い実績を挙げている現場マネジャーが、事業拡大のタイミングで競合企業に転職するケースや、立ち上げ企業・部門、拡張部門でプレイイングマネジャーとして転職するケース等は見受けられます。
営業のシニアマネジャー、部長クラスもポジションもポジション数に比例して案件は多くありませんが、現場マネジャーと比べて評価の基準が組織マネジメントや戦略策定・実行となりますので、これらの高い能力を有する方にとっては選択肢が広がることになります。但し、やはりこれまでの経験分野がある程度近い製品のマネジャーに転職することが多くなっています。
営業マネジャーであっても、英語力を求められることがあります。この傾向は、エリアマネジャーからリージョナルマネジャー、ナショナルセールスマネジャーとポジションレベルが上がるに従って強くなります。言い換えると、たとえ営業であっても英語を習得しておけば、将来的にキャリアの選択肢が大幅に増えることになります。
評価のポイント
現場マネジャー
- 応募ポジションと同じかもしくは非常に近い経験分野を持っているか
- すでに部下マネジメント経験があり、部下育成・リードすることによりチームとして実績を挙げてきたか
- エリアに対し有効な「戦略」を立て実行することにより実績を伸ばしてきたか
シニアマネジャー以上
- 「組織マネジメント」や「営業戦略策定・実行」において、特筆すべき実績を持ちあわせているか。
- マーケティングその他の他部門を巻き込み、協力し、良い影響・刺激を与えながら業績を伸ばしてきたか
- 個々の組織・ビジネスが抱える問題点を修正できるような、経験・スキルを持ち合わせているか